07-06-2020 03:07 AM - 編集済み 07-06-2020 03:10 AM
「ねぇリタさん。アイアンマンはトニー・スタークのようなカッコいいスタイルで、3Dモデルが現実と重なりながら設計とかしてみたいよ。ポケモンGoも大好きだけど、スマホ持ってるのイケテないよ。もっとこう、見える世界全部と重なるハンズフリーで遊びたい!!MRレンズがmicrosoftやamazonからここ数年一気に発表されそうだけど、それでなんとかならないの??」
理系学部生くんのそんな夢、かなえていくためには実は通信機能がネックになってきそうですね。話題の5Gやミリ波などの話が、救世主としていち早く世界に出てくるためには、どのような難しさがあるのか。今回はそんなお話です。
理系学部生くん
「5Gや通信がネックってどういうこと?」
NI社員 リタ
「MRが普及するに伴って、youtubeでもコマ遅れするような現代なのに、要求が3Dモデルと位置情報を加えるデータ量の爆増が起こったら、遅すぎてやってらんないよね。早くするためには、ミリ波利用、ビームフォーミングとかってオモシロ技術がたくさんあるんよ。し・か・も。それらの良さを証明するためのテスト手法も劇的な進化を遂げているんだよ。普段見えづらいスマホのアンテナの最新試験方法。くぅー、ニッチで知る人ぞ知る領域ね。そこがシビれる憧れるぅぅ!」
理系学部生くん
「ファボゼロのボケしないでください。そもそも5Gやミリ波ってどんな話なんですか?」
NI社員 リタ
「高速化通信・低遅延・多数同時接続を達成することで、センシングIoTによるおうちのスマート化や、動画視聴のスムーズ化、遠隔医療や自動運転への貢献が期待されているよね。今までのLTEだと900MHz帯が使われることが多かったけど、5GではSub6GHzやミリ波と呼ばれる28GHz帯など使われるようになるよ。」
理系学部生くん
「へぇ、それがテストの領域にはどのような違いにつながるんですか?」
NI社員 リタ
「LTEやsub6GHzまでは有線でやれることが多かったんだよ。通信の実現にはアンテナ・アンプ・フィルタ・IQ変調器にプロトコル開発など様々役割が分かれるのだけど、アンテナ以外は有線環境で試すことが多かったんだ。電波反射とか減衰を考えなくて済むし、ラボも小さくて済むからね。対してミリ波になると、周波数がとても高い分電気的な経路損失問題・フロントエンドアンプへの直接接続要求などあって、有線でのテストが難しいんだよ。」
理系学部生くん
「ちなみに、アンテナとか無線環境が必要な時ってどのような場所でテストするんですか?」
NI社員 リタ
「こんな場所があるんだよ」
理系学部生くん
「うわっ!なにこの異世界!」
NI社員 リタ
「確かに見慣れないよね。こういった部屋を電波暗室というのだけど、みてわかる通りすごくコストのかかる環境だよね。通信の開発には各役割に分かれるといったけど、各チームそれぞれに電波暗室を用意できると思う?」
理系学部生くん
「もっと賢い方法を考えたいです。」
NI社員 リタ
「そうだよね。その賢い方法として、ミリ波ではOTA(Over-The-Air)テストの注目が高まっているんだ。アンテナメーカ・アンプメーカ・受託試験機関など様々なところが動き始めているよ。OTAだとこの図のようなサイズで、DUTを箱の中で回すことで全天球試験が行えるようになるよ。」
理系学部生くん
「うわぁ、とても省スペース!」
NI社員 リタ
「NIはプラットフォームとしてテスト環境をこれまでも出してきたから、アンテナのOTAはもちろん、途中の2020/06/10フィルタ段階ごとの信号やIQ変調信号も併せて測れるから、回路の評価を細かい段階に分けて行える分問題特定も行いやすくなるよ。」
理系学部生くん
「実際これらの計測器を使って、ミリ波開発している人たちはどのようなスペックを測りたいものなんですか?」
NI社員 リタ
「そうだね。測定項目としてはいろいろあって、
・Effective isotropic radiated power (EIRP)
・Total radiated power (TRP)
・Error vector magnitude (EVM)
・Adjacent Channel Leakage Ratio (ACLR)
などの値が代表的だね。要は意図した方向に強く、漏れなく効率的に送れているかだよ。」
理系学部生くん
「なるほど~。では最後に少しきわどい点なのだけど、他にもOTAができる製品を出している会社があれば、比べてNIさんってどんな点がすごいのか聞いてもいいですか?」
NI社員 リタ
「おっと、社員ブログなのに冷や汗なことを聞くね。
そうだね、テストスピードの改善がNIのメリットじゃないかな。
スマートフォンが2018年に15億台以上出荷されたことを考慮すると、5G端末に搭載される半導体デバイスの場合には、1デバイスのテストは秒単位で済ませたいよね。
LTE時代のテスト環境をそのまま使うと、DUTあたりに24時間のテスト時間かかったりするケースを耳にすることもある。
この問題が発生する理由は、
3GPPからのOTA試験に対する要求項目が5Gの場合大幅に増えたからなんだ。
例えば3GPPの全球面で細かいグリッドで一点一点計測を行うことを求めているので、ポジショナーと計測器側の連携が鍵になるよ。
NIのOTAだと下の図のように、1点ごとの計測をしながら並行して解析できるようFPGAやソフト環境合わせて組んでいるから、テストスピードの改善が実現できたんだ。
理系学部生くん
「快適な通信の裏ではこのような努力が行われていたのですね。大変勉強になりました」
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本記事をご覧いただきありがとうございました。
NIではご相談段階からお伺いし、技術コンサルティングを行っています。
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超高速ミリ波OTA検証テストを実現 - National Instruments
5G向けミリ波フロントエンドの開発スピードを加速するOTA評価ソリューション - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=eiwGObRehO0&feature=youtu.be
河西 利太朗
東京都葛飾区は亀有での下町商店街育ち。
学生時代に一念発起でスペインに移住し、自動車試験機関で働いていた際にNI製品を扱い惹かれてNIに入社しました。
趣味はテニス、ジャグリング、魚を捌くこと。
TEL: 0120-527-196
Email: ritaro.kasai@ni.com